清水の舞台からどんぶらこ

俳句や短歌などを月刊ペースで

俳句・短歌

ロボット

もうすでに壊れてしまったロボットのねじを回し続けるお仕事 地虫出づはじめの声は一斉に 朝になるまえに君から溢れ出す光でもって目覚めたいんだ にんがつの月しづかなりしづかなり come together 明日を元気に生きるため失われるビートルズの魔法 エロティ…

老女たち

猫と猫のマネキンと猫の恋 アンデルセン童話の中の天国の話ばかりをする老女たち うららかやうすむらさきのドラッカー 少年の去ってゆくたび老人は神話を読んでいって眠って 誰になろうか大人になればラムネ壜 点滅をしてる信号機の裏のはがれかけてるポスタ…

さびしさ

米いつもより艶やかで初竈 毎日が祭りなのです朝食にバターロールを選ぶことさえ 春めいてアルミホイルのぬるくなる 風が吹くと舞い散ってしまうものたちと本のページと留まるインク 洗濯物みな飛び出でて春嵐 まいまいのテカりが不気味だったので今日はフレ…

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叙情的短歌です ます 叙情的文語がここに書かれています 直線状にある||| (かれき) と|||| (でんせん) と ゆるやかに暗色になるコカ・コーラを予言と言ってアメリカへ行こう 紀元前よりのたのたと海鼠かな リゲティの声宇宙から降ってきて人工知能たちがしあ…

数える人

考古学的に残ったルイ・ヴィトンの財布が朽ちてゆくまでの模写 仏像の少し暗くなって夜寒 童謡が流れてくるよあなたから輪廻転生繰り返すたび 生きている人鶏頭を数える人 一対の肉塊となり愛という言葉のエゴを押し付けあった 冬めくとピカソめいたりしてい…

そこに光

鈴虫の節一節に光あれ 罪ばかりある世界へとふんわりと天使は降りて雑誌を買った 秋の蝶天使に羽を奪われて 過去というものを学んで奪われた時を取り戻そうとしている 戻ってきたら運動会のような朝 朝になるときに盗まれていったね 夜という名の なにか た…

愛されて

いつまでも死者のままではいられない 目覚まし時計はいつもうるさい 愛されて蝿の名残の潰される ショッピングモールで孫にチョコレートケーキを強請られるフー・マンチュー 闇深く深くや秋の昼を置き 永遠を赦してほしくてどうぶつの森をゆっくりケースにし…

今日の僕らは一味違うぜ

思い出せないよ思い出せないよ思い出せないんだあれの名前 クレラップ巻いて昨日の夏料理 氷河期を生きたひいひいひいひいひい(以下略)おばあちゃんの知恵袋 鉄は黒よりも黒しや星月夜 セロテープとセロテープの境界線にあるけれどない虚無というもの 蜩や…

Is this a pen?

"Is this a pen?" "This is a KOSHITAYAMI" 僕らはねほんの少しの時間だけ生きた細胞の系統樹 白帝や誰よりもうつくしい皺 コピーしてペーストすれば元通りだって言いたい だって言わせて 草いきれあざやか雨去ってあざやか 楽しさを表す『45度』の字を眺…

タブラ・ラサ

あじさいは悲しくなるよ紫が雨に打たれてあざやかだから しなるたび青白くなる団扇かな 太陽光パネル向日葵と共にあちらを向くたわわな収穫日 夏草や生命はみなタブラ・ラサ 梅雨前線降下中降下中君のまぶたが濡れてゆくのを 天道虫アポロ計画も半世紀前 老…

寿司の『玉子』

秋分や空を浮遊す寿司の『玉子』 ウーパールーパーならきっと大丈夫、王になれるよヒトの王にも シャワー止め忘れて悪の召されけり すみ バアサ ません ンノハタ トイレ ケノ どこに イド あるんですか ヲミギ 虫飛んで火に入り夏が虫になる ゴシック建築と…

ギザギザの十円玉

帰郷してまたギザギザの十円玉 クレオパトラの鼻に粘土を塗っているそうしたら褒められる気がして 立秋や初恋は精子なんです 燃え尽きた本から蝶になってゆき始皇帝殺す水銀もって 青柿。そして、十年ぶりの君の背たけ 青春が終わる私が終わってくさなぎの中…