2023-01-28 雑記1 虫一匹飛んで地方都市の昼 NISSANの文字の赤さや秋の月 いつの世も風に吹かれて芒かな こどもみなとんぼよやがてとんでゆく うららかや一寸先のとんかつ屋 大晦日糞また糞のさらに糞 置き去りのビニール傘や去年今年 残り香の重たき煙草冬の宿 開いては握って寒き路である 冬麗や朱夏我のみの街頭演説
2020-04-05 ロボット 俳句・短歌 もうすでに壊れてしまったロボットのねじを回し続けるお仕事 地虫出づはじめの声は一斉に 朝になるまえに君から溢れ出す光でもって目覚めたいんだ にんがつの月しづかなりしづかなり come together 明日を元気に生きるため失われるビートルズの魔法 エロティカや猫の恋など廃墟など 君の所有権を持てたら永遠に持ってしまえば幸せなのにね 油彩画の花へとなりてゆく桜 あじさいの花が咲いたよゆっくりと雨が降っても輝くために さびしさや野火高々と空へゆく
2020-03-02 老女たち 俳句・短歌 猫と猫のマネキンと猫の恋 アンデルセン童話の中の天国の話ばかりをする老女たち うららかやうすむらさきのドラッカー 少年の去ってゆくたび老人は神話を読んでいって眠って 誰になろうか大人になればラムネ壜 点滅をしてる信号機の裏のはがれかけてるポスターの香 ひたひたとシャツ絞りつつ春の雨 雨降って去ってどこへと行こうかと旅人たちのかつての声が 春雨や始発電車の色は白 ねんねんころりころりよねんねんころりよと眠れ遺跡も悲しみさえも
2020-02-04 さびしさ 俳句・短歌 米いつもより艶やかで初竈 毎日が祭りなのです朝食にバターロールを選ぶことさえ 春めいてアルミホイルのぬるくなる 風が吹くと舞い散ってしまうものたちと本のページと留まるインク 洗濯物みな飛び出でて春嵐 まいまいのテカりが不気味だったので今日はフレンチトーストでした ヴィトンの財布すり切れて寒蒲団 八月に降る雪ですか今日もまたさびしさだけを運ぶのですか 水温む今日もさびしき雨降れど 月になる年頃なんだ女の子はそして星へと変わる男の子
2020-01-01 |||| 俳句・短歌 叙情的短歌です ます 叙情的文語がここに書かれています 直線状にある||| (かれき) と|||| (でんせん) と ゆるやかに暗色になるコカ・コーラを予言と言ってアメリカへ行こう 紀元前よりのたのたと海鼠かな リゲティの声宇宙から降ってきて人工知能たちがしあわせ サティ白 雪 雪 雪とジムノペディ 肩幅に触れる。喉元に触れる。うなじに触れて正二面体 冷たさを置いて点字の文字一つ 永遠の夜、永遠の昼も来た。だけど僕らの世界は続く レントゲン撮ってしずかに冬の水
2019-12-02 数える人 俳句・短歌 考古学的に残ったルイ・ヴィトンの財布が朽ちてゆくまでの模写 仏像の少し暗くなって夜寒 童謡が流れてくるよあなたから輪廻転生繰り返すたび 生きている人鶏頭を数える人 一対の肉塊となり愛という言葉のエゴを押し付けあった 冬めくとピカソめいたりしていたり 不和であるゆえにあなたと別人で嬉しい だって、触れるんだもん ポインセチアポインセチアどこへでも ツィギー立つポスターポスターポスターポスターポスターばかり鬼ごっこしよ 冬雨と歌集 蛍光灯は白
2019-11-03 そこに光 俳句・短歌 鈴虫の節一節に光あれ 罪ばかりある世界へとふんわりと天使は降りて雑誌を買った 秋の蝶天使に羽を奪われて 過去というものを学んで奪われた時を取り戻そうとしている 戻ってきたら運動会のような朝 朝になるときに盗まれていったね 夜という名の なにか たっとい 尊ばれながら蚯蚓は鳴いている 鳴く鳥の名前を知らず飛んでゆくそれの名前を鵺と名づけた 巣に帰り夜を子どもへ与える鵺 取り返しなおして夜に朝を産みなおさせたよ ああ、そこに光