清水の舞台からどんぶらこ

俳句や短歌などを月刊ペースで

愛されて

いつまでも死者のままではいられない 目覚まし時計はいつもうるさい

 

愛されて蝿の名残の潰される

 

ショッピングモールで孫にチョコレートケーキを強請られるフー・マンチュー

 

闇深く深くや秋の昼を置き

 

永遠を赦してほしくてどうぶつの森をゆっくりケースにしまう

 

死刑宣告せよ柿を吊るように

 

愛という言葉ばかりを追いかけてとうとうここまで来たよ ねえ、ユダ

 

流体の詩人詩を読む声低く

 

終わったらすぐ用意して始まりなさい、始まりなさいと君の呼ぶ声

 

無花果に生まれて死んで愛されて

今日の僕らは一味違うぜ

思い出せないよ思い出せないよ思い出せないんだあれの名前

 

クレラップ巻いて昨日の夏料理

 

氷河期を生きたひいひいひいひいひい(以下略)おばあちゃんの知恵袋

 

鉄は黒よりも黒しや星月夜

 

セロテープとセロテープの境界線にあるけれどない虚無というもの

 

蜩やひらがなカタカナ学ぶ子

 

北極と南極であるためにこそ今日の僕らは一味違うぜ

 

鵙の贄罪なき人にも罪のあり

 

テトラポッド波に隠れて現れて攫われていく蟹に夕日が

 

もさもさと喰われて秋の夕べかな

Is this a pen?

"Is this a pen?" "This is a KOSHITAYAMI"

 

僕らはねほんの少しの時間だけ生きた細胞の系統樹

 

白帝や誰よりもうつくしい皺

 

コピーしてペーストすれば元通りだって言いたい だって言わせて

 

草いきれあざやか雨去ってあざやか

 

楽しさを表す『45度』の字を眺め続けている秋の暮

 

打ち水の打たれし音はいづこから

 

繰り返すリフレインする反復する そんな中でも咲いてゆく花

 

羽音ぶうんぶうん夏の峰遥か

 

遮光器土偶が歩いた、歩いたんだ 田舎の道を、僕の記憶を

タブラ・ラサ

あじさいは悲しくなるよ紫が雨に打たれてあざやかだから

 

しなるたび青白くなる団扇かな

 

太陽光パネル向日葵と共にあちらを向くたわわな収穫日

 

夏草や生命はみなタブラ・ラサ

 

梅雨前線降下中降下中君のまぶたが濡れてゆくのを

 

天道虫アポロ計画も半世紀前

 

老衰を迎えるひとの血の色の代わりに赤く染まる夕立

 

打ち水アスファルトなお黒くなる

 

フェイクグリーンは永遠にみどりいろ100年後も1000年後も

 

やわらかくありやわらかく竹林

寿司の『玉子』

秋分や空を浮遊す寿司の『玉子』

 

ウーパールーパーならきっと大丈夫、王になれるよヒトの王にも

 

シャワー止め忘れて悪の召されけり

 

すみ バアサ ません ンノハタ トイレ ケノ どこに イド あるんですか ヲミギ

 

虫飛んで火に入り夏が虫になる

 

ゴシック建築モダニズム建築がコミケに来てた 壁サーだった

 

ニケの腕落ちて無数の鱏となる

 

うみゆりが花開くとき飛行機はエマージェンシープリン足りない

 

定形の歯ぎしりもある花野かな

 

ポップコーン飛んだり跳ねたりかわいいねかわいいかわいいかわいいおいち

ギザギザの十円玉

帰郷してまたギザギザの十円玉

 

クレオパトラの鼻に粘土を塗っているそうしたら褒められる気がして

 

立秋や初恋は精子なんです

 

燃え尽きた本から蝶になってゆき始皇帝殺す水銀もって

 

青柿。そして、十年ぶりの君の背たけ

 

青春が終わる私が終わってくさなぎの中のどろどろになる

 

クリストのごと包まれる老婆の皺

 

ゴールデンレコードなんて信じないだってだってこれ初恋だった

 

葉桜や若人はみな死にたがり

 

ショッピングモール平成だけがある景色に令和が入っていく